聖書の学び
毎週日曜の午前9時から、90分ほどみんなで聖書を学びます。寮長や講師の先生が、45分ほど講話をし、それについて感想や意見、質疑応答を行うという形で行っています。上から目線で教えるというよりは、皆で真理を発見し合うという場です。まじめな話題について、心を開いて話し合う場として、寮生活の精神的支柱となっています。
講話を担当するのは主に寮長であり、毎月一度下記で紹介する先生方が交代で話をしてくださいます。
1.講話と話し合い
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2.講師
千葉 眞
《自己紹介》
私は、1949年に宮城県古川市(現在、大崎市)に材木店を経営していた千葉愍治と由紀子の家族(7人兄弟姉妹)の長男として生まれました。父は、早大学商学部に入学し、下宿生活をしましたが、日々寂しく従姉の千葉幽香さんに「わだぐすいいげすく(下宿)ないんです」と大粒の涙を流し、何とか戦前の春風学寮を紹介していただきました。(当時の寮生はほぼ全員が満鉄の子弟でしたので、内地からの最初か二番目の寮生だったようです。)日曜日の道正安治郎先生の熱烈な聖書講義に次第に引き込まれ、父はキリスト者になりました。母も戦時中に数人の女子学生が春風学寮に住むことが許された時期、春風学寮にお世話になりました。東京女子大の学生の時に友達に誘われて塚本先生の丸の内聖書集会に行ったのが、きっかけでした。そして塚本先生の司式、道正ご夫妻の証人で結婚いたしました。
道正おじ様が元気でおられる間に聖書講義をうかがうようにとの両親の考えもあり、私自身も春風学寮に1965年に高校一年生で入寮。上京は入学した早大高等学院というよりは、春風学寮に入るためのようなものでした。私自身は、高三の冬の大病を契機に回心を経てキリスト者になりました。その時、死の恐怖と絶望のなかに「神は愛なり」という天の細き静かな呼びかけを聴きました。
その後、寮生として院生時代も含めて約10年、1984年以降の新寮舎で妻百合子と寮長・寮母として20年近く、合計30年ほど愛する寮生さんたちと起居を共にしました。息子の雄も娘の香子も春風学寮で生まれ育ち、寮生さんたちにたいへん可愛がっていただきました。今も、聖書講話の講師として寮生さんたちと交流しております。これ以上の歓びと感謝はありません。私にとって春風学寮との交わりは一生の天命のようなもの、そこに摂理とお導きを覚えています。「愛と信頼」の春風学寮は暖かい春風が吹くホーム、つねに大切な聖なる場所です。(現在、年金生活者、ICU名誉教授・政治思想専攻)
黒川 知文
≪自己紹介≫
1954年に香川県小豆島に生まれる。父は地方公務員。母は編み物教師、姉はピアニスト。
高校2年の秋にキリスト教を否定しようと教会に行き、自分の罪が分かり救いの経験をする。東京外国語大学ロシア語科在学中には聖書研究会会長に、また夏休みにはクリスチャンの友人と天幕伝道集会を開催。「山が当たり」奇跡的に大学院入試に合格する。映画「屋根の上のバイオリン弾き」の感動から、ユダヤ史研究を使命にする。イスラエル国エルサレムにあるヘブライ大学に政府奨学生として1年間、米国イェール大学歴史学Ph.Dコースに3年間留学。1983年に 一橋大学博士課程を修了して、東京基督教大学専任講師に。1991年に 小説「召天」であかし文学賞を受賞。1995年に論文「ロシア社会とユダヤ教」により文学博士〈東大〉を授与。翌年から22年間、愛知教育大学教授になり西洋史を教え、聖書講座も開催して学生に福音を伝える。東京大学、東京外国語大学、慶應義塾大学でも講義を担当。2001年には神学博士を授与し湖北パークサイドチャペル牧師に就任。定年退職後、2018年から中央学院大学教授に、2020年からは賀川豊彦記念松沢資料館館長に就任する。
研究分野は、ユダヤ史、西欧キリスト教史、日本キリスト教史。
主な著書(単著)に、『ユダヤ人の歴史と思想』;『ロシア社会とユダヤ人』;『ロシア・キリスト教史』;『西洋史とキリスト教』;『日本史におけるキリスト教宣教』;『歴史観とキリスト教』;『内村鑑三と再臨運動』;『マックス・ヴェーバーの生涯と学問』;『ユダヤ人迫害史』。
性格は温厚でまず怒ったことがない。目的志向型、計画実行型で90歳までの人生計画を立てている。「情熱と禁欲」がモットー。弱点は、目標がない時の怠惰と高慢。尊敬する人物は、アルベルト・シュヴァイツァー、内村鑑三、矢内原忠雄、賀川豊彦。好きな食べ物は、讃岐うどんとトンカツ。
木村 護郎 クリストフ
≪自己紹介≫
1974年名古屋生まれ。東京外国語大学ドイツ語学科卒業、一橋大学大学院言語社会研究科博士課程修了。慶応義塾大学講師等を経て現在、上智大学外国語学部ドイツ語学科教授、同大学院グローバルスタディーズ研究科国際関係論専攻教員。本務校の他、学習院大学、関東学院大学、慶応義塾大学、東京大学、東京外国語大学、東北大学、一橋大学、北海道大学、和光大学等で非常勤講師や研究員を務めてきた。
・学部および大学院の足かけ8年間、春風学寮で過ごしました。現在は、春風学寮の他、無教会自由が丘集会などで聖書講義を担当しています。
・専門は言語社会学、ヨーロッパ地域研究です。言語の多様性とどう向き合うかという基本テーマのもと、少数民族や移民と多数者の共存、また異言語間コミュニケーションについて研究・教育を行っています。また地域研究の一環として、世俗社会において宗教が果たす役割について、主に平和・和解や環境・エネルギーの観点から検討しています。
・モットーは、「来た時よりも美しく」。次に来る人が気持よく過ごせるように、帰るときは来た時よりも山荘の内外をきれいにして帰ろうという、学生時代に管理人をしていた八ヶ岳の山荘の標語でした。人生もかくありたしと思います。
・趣味は、読み書き、散歩、ハイキング、コンポスト(堆肥作り)、音楽鑑賞(現代クラシック、能楽など)。
キリスト信徒の両親のもとに生まれた私にとっては、小さいときから、神様の存在は家庭の「雰囲気」から感じとっていました。神様を信じるというのは自分にとって、いわば三度の飯とおなじくらい当然のことでした。
しかし高校くらいのとき、信仰の自明性が薄れ、自分の信仰に疑問がでてきました。神様って誰なのか、よくわからなくなっていました。そういう高校時代、ある聖書集会に出席したとき、長らく企業に勤めながら伝道活動を行ってきた先生が私に話しかけてきて、次のように言いました。
「若いもんは、聖書のあれがわからんこれがわからんといっていろいろ言うけど、おれだってわからんわ。とにかく、つべこべいわずに信じればいいんだ。」
ちょっと乱暴な言葉にも聞こえますが、こうやって何十年も熱心に信仰の人生をおくってきた人でも、わからないんだ。なーんだ、それでいいんだ。なんかすごく安心しました。信仰を(頭で!)わかる必要はない、というのは大きな発見でした。
学生時代、「人生を豊かにしていくに何をすることが必要と思うか」という問いに「聖書の勉強」と答えたことがあります。今でもそう思っています。