春風学寮とは

春風学寮の目的と基本精神

 春風学寮の目的は、豊かな人格が自ずから育まれるような生活環境を提供することです。豊かな人格を育むためには、豊かな住環境、豊かな食事、豊かな交わり、豊かな学びが必要です。これらをできる限り提供しようと努力するのが春風学寮です。
 その際、特に重視しているのは、聖書のキリストからの学びです。キリストこそは、最高の人格であり、キリストに学ぶならば、その人格的息吹が自然に学生たちの人格を育んでいくことでしょう。特に愛を基調として個性を重んじ、信頼関係を大切にする人格が育まれていくはずです。春風学寮は、そのような人格が寮生の心に知・情・意すべての面で育まれていくことを目指しています。

公益財団法人 春風学寮の沿革

道正安治郎・多賀夫妻

1.設立
公益財団法人・春風学寮は 1929(昭和 4)年、明治、大正、昭和期のキリスト教指導者、内村鑑三、塚本虎二の流れをくむキリスト教(無教会)精神を土台に、「神を畏れ、学を励み、自治協同の精神を養い、併せて寮生相互に愛と信頼を厚くする」ことを目的として設立され、非事業的、非営利的経営により今日まで運営されている男子学生寮です。
2.原点

創設者の道正安治郎氏は若き日における1912 年からの 6 年間におよぶアメリカ留学中に、YMCA の学寮(フラタニティー)の指導者ストウジ博士出会いました。その学寮において学生たちが自由と自治の精神のもと健気あふれる楽しい有意義な共同生活をおくっていることに感銘し、いつしかこのような学問と人生の学びを骨子とする学寮を日本にも建てたいという希望をもって帰国しました。そしてその時機(カイロス)が到来し、1929年に満鉄を辞して多賀夫人の協力のもとに、私財を投入し、満鉄の援助を受け、東京世田谷に春風学寮を創設いたしました。
3.展開
 設計者は近江兄弟社のボーリス博士でした。春風学寮は、とくに創設期には旧満州に居住する満鉄社員の子弟が東京で勉学する際の学寮としての役割を果たしました。以来、戦中に道正氏は平和を希求する発言を当時の特高に傍受され、そのため治安維持法違反の嫌疑をかけられ、投獄されたこともありました。戦中の困難な時期を乗り越え、春風学寮は数多くの若者たちに青春の豊かな出会い、健康的で清らかな共同生活、協同の学び、純粋なキリスト教の伝達の場を提供して、今日に至っております。
4.現在
 1984(昭和 59)年 4 月には、新しい鉄筋の寮舎に建て替えられました。2012(平成 24)年 4 月 1 日に春風学寮は公益財団法人の認定を受け(とくに育英事業と奨学事業が高く評価されました)、新しい出発を遂げております。さらに、2019 年9 月には水回りや屋根、外壁を中心とする大修繕工事が完成し、安全さと快適さを増して現在に至っております。

寮長からのメッセージ

この寮は、住まいと食事を提供するということのほかに、もう一つ大きな目的を持っています。その目的とは、寮生たちの人格を育んでいくということです。
では、人の人格はいったいどのようにして育まれていくのでしょうか。思うに、最高の人格者について学び、その人から影響を受けることによって自然に育まれていくのではないでしょうか。ときには知識やしつけや罰によって養われることもありましょう。しかし、人格のコアとなる本当に大事な部分は、やはり最高の人格者から感化を受けることによって自然に育まれていくのだと思います。
 それでは、最高の人格者とは誰でしょうか。ソクラテス、仏陀、孔子・・・。世界には素晴らしい人格者がたくさんいます。しかし、春風学寮は、イエス・キリストこそ最高の人格者であると考えます。なぜなら、敵をも愛しなさいと教え、実際にそれを完全に実行した人はイエス以外にはいないと考えるからです。
というわけで、この寮の目的は、イエスに学び、イエスの最高の人格を通じて寮生の人格を自然に育んでいこうというものです。だからこそ、この寮のキャッチコピーは、「キリストの息吹が人格を育む学生寮」なのです。
私は一人でも多くの若者がキリストの人格的息吹に触れ、豊かな人格を養っていくことを望んでいます。


寮長・寮母の紹介

寮長 小舘美彦
学歴:中央大学法学部法律学科卒、同大学大学院博士後期課程満期退学(英文学専攻)。

職歴:中央大学・明治大学・青山学院大学の非常勤講師の後、現在拓殖大学特任講師。
   元登戸学寮寮長、現在春風学寮寮長。
自己紹介
・幼い頃は神経質で好き嫌いが多く、夜も眠れない子供でした。
・小中学校では心機一転、スポーツ少年となり、野球、剣道、卓球にあけくれ、勉強は
ほとんどしませんでした。
・高校では再び心機一転、受験を目指して勉強ばかりしていました。他方受験のための
勉強に疑問を持ち始めました。
・大学に入ってからは、幸福とは何か、人生の目的とは何かを求めて、貪欲に読書にはげみました。特に心を打たれたのは、自分の才能を活かしきり、名声と欲望をほしいままにしたドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナーの伝記でした。彼のようになろうと思い、専攻を法律学から文学に変えました。それからの私は、全くの文学青年でした。
・大学院で詩劇の研究をしていたころ、画家を目指していた知子と出会い、結婚。一年
後に生まれた長女が、小児癌にかかり、2歳で亡くなってしまいました。このとき、
キリストの十字架による救いを体験し、キリスト者となりました。
・以降人生の目的も幸福感も全く変わりました。もはやワーグナーを目指すことはや
め、キリストと共にあることを人生の目的とし、キリストと共にあることを幸福と考
えています。
・「キリストには全てがある。」これが現在の私の信念です。

寮母 小舘知子

学歴:早稲田大学第二文学部卒。
職歴:2003年~2006年公文式すすき野教室経営。
   2006年~2013年公益法人登戸学寮寮母兼事務。
   2014年~2017年NPO法人たすけあい・ゆりの木介護士。
   現在春風学寮寮母
自己紹介
好きなことは、絵を描いたり本を読んだり考えたりすること。海でのんびり泳ぐこと、子どもと遊ぶこと、人とまじめに話し合うこと。寮生との読書会はとても楽しく感じます。
二十数年前、二歳だった娘が苦しい闘病の末、亡くなりました。もし、人間が死んで終わりだとしたら空しすぎる、是非とも天国が必要だと思い、クリスチャンになりました。

OBの声

寮友の推薦の言葉!

姜尚中(カン・サンジュン)さん(東京大学名誉教授・学校法人鎮西学院鎮西学院大学学長)

学寮先輩の推薦の言葉!

本川達雄さん(東京工業大学名誉教授・生物学専攻)

諏訪基さん(国立障害者リハビリテーションセンター研究所顧問・福祉機器研究開発)

高橋康浩さん(新潟大学准教授・現代社会文化研究科・社会文化専攻)

岩田正夫さん(エーザイ株式会社・アカデミア・インダストリーアライアンス部ディレクター)

楊志強(ヤン・ツィーチャン)さん(中国貴州大学教授・人類学専攻)

山根章義さん(読売新聞東京本社メディア局編集部次長)

古屋壮一さん(松山大学教授・民法専攻)

浅野勝弘さん(難関大学受験予備校・巌丈志摩校長)

陶冶(タオ・イェ)さん(中国山東大学教授・社会学専攻)

眞壁仁さん(北海道大学教授・日本政治思想史専攻)

諏訪理さん(JAXA宇宙飛行士)

木村護郎クリストフさん(上智大学教授・言語社会学専攻)

遠藤亘さん(株式会社富士通総研・会社員)

マーシャル・スミスさん(帯広畜産大学教授・公衆衛生専攻)

千葉恵さん(北海道大学名誉教授・哲学専攻、登戸学寮寮長)