眞壁仁さん(北海道大学教授・日本政治思想史専攻)
学生時代にこそ、人生の各局面で読み直したくなる古典的な思想作品と出逢いたいものです。長く読みつぐには、経験を重ねるごとに異なる意味を見いだしたり、その読みが深まるような作品が望ましい。唯一の正しい解釈(正統)は、もはや統制的な理念としてしか存在しないでしょう。混迷した社会を生きる者として、自分にとっての古典を、多様な視点からの疑問を率直にぶつけ自由な議論に開かれている作品として時代のなかで読み重ねてみたい。春風学寮における「聖書」の学びは、数年間の在寮期間中もそうであったように、私にとっては今なお「聖書」への問いかけとして続いています。80年以上の伝統がある「学寮」は、新旧の寮友や古典との出逢いをとおして、真剣に人生や学問に向き合うことを促してくれるでしょう。