2月29日をもって、2023年度の寮生活は休寮期間に入った。遅ればせながら2月11日に行われた卒寮式の模様を報告したい。卒寮式には、卒寮予定者がスピーチをすることになっている。このスピーチは、寮生活を通じて何を学んだかが現れる感動的なものであり、涙なくして聞いてはいられない。
本当はそれぞれのスピーチの内容を紹介したいところだが、さすがにそれはプライバシーにかかわるので、総括的な報告と感想だけを記したい。
彼らと過ごした数年間は、私がこれまでに経験した寮生活の中で最も激しいものであり、最大限の喜びと悩みをもたらしてくれた。例えば、共にカラオケに行っても、誰かが歌って他の人がそれを聞くなどという生易しい状況にはならない。踊りまくり、叫びまくり、壁を叩いて、隣室の人から「静かにしてください」と言われてしまう。クリスマス会などのイベントをやっても、とんでもないことを計画し、結局素晴らしいイベントに仕上げるのだが、そのプロセスや後始末には大変苦労することになる。人間関係においても、遠慮せずに本音を語り合い、傷つけあうこともいとわない。大量に本を読み、映画やコンサートにしばしば出かけ、バイトもやり、飲みにも行く。当然寮のルールが守れなくなってくるのだが、だからと言って、ルールを軽んじているわけではなく、日曜集会には出席し、掃除もきちんと(?)やる。彼らはまさに激動の豊かさを寮にもたらしてくれたのだ。
彼らが卒寮することで、喜びも悩みも半減した。しかし、私の心にはぽっかり穴が開いたようだ。卒寮式は、寮長にしてみれば、やっぱり悲しい。